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一棟物について考える


今後の不動産取得戦略を考えるにあたっては、区分マンションを続けるパターンと、
一棟物アパートへシフトするパターンと、幾通りか収支シミュレーションをしています。

一棟物には挑戦してみたいとは思ってはいます。

マンション区分所有と比較して、メリットは言うまでもなく収益の効率性。
部屋数が多い分、家賃収入も大きいですし、修繕積立金や管理費がない分、手残りが大きいです。

ただ、一棟物にポジティブになれていない自分がいるのを認識します。

まず、大き目の利回りを出す物件は特に地方に多いですが、

  • 今後の人口動態を考えると東日本では1都3県以外に手を出しづらい。
    (千葉は将来減る予測ですが場所を選べば勝負になると思っています。)

という懸念が心的フィルターにかかります。

周辺調査の結果、担保力もあり空室リスクもクリアして勝負になると判断したとしても、
小馴れた1500~2500万円くらいの価格帯は、築20年程度(木造、軽量鉄骨)が多く、

  • 法定耐用年数の残年数的に、融資を20年以上引くのは難しい。

ただ、三井住友トラスト・ローン&ファイナンスやセゾンファンデックスなどノンバンク、
オリックス銀行やSBJ銀行、日本政策金融公庫(融資期間が基本10年、最長15年)はその限りではありません。

ですので、築古物件でも本当に“良い物件”と自分で判断できれば、手を出せる環境はあるということです。

“良い物件”とは、もちろん高収益を生んでくれることはありますが、
私的には、設備に心配が無い(もしくは少ない)ということが“良い物件”の条件に加わります。

  • 築古物件は設備(防水、給水タンク、給湯器、水道管・・)が心配。

大規模修繕の屋上防水などは言うに及ばず、水回りは20年程度、給湯器は15年程度が寿命と言われています。

もしアパートを購入して、雨漏りや水道管破損、給湯器交換等が発生したら、と考えると費用的な痛手も懸念です。
業者売主物件だったり、瑕疵担保期間をなるべく長く付けてもらったりや保険でリスクを下げることはできますが、
築20年もすればアパートもかなり傷んできていますから、不具合の発生頻度は上がって当然と考えています。
この点は、より新しい物件が好ましいということになりますが、価格や収益性とのバランスですね。

あとは、

  • 所有物件が事故物件になるリスク

についても考えてしまいます。
実際には所有物件で発生する確率はごく低いものでしょうが、ひとたび発生してしまえば、

・その部屋はその後なかなか入居者が決まらない
・他の部屋の借り主も気味悪がって退去が続く
・入居希望者が見つからず家賃下落
・その物件から家賃収入がなくなるのに月数十万円のローン返済は続く・・
・物件を売ろうにも買い手が見つからない

といった負のスパイラルに陥る可能性が多分にあるでしょう。
区分所有ならその1室だけで済みますが、アパート一棟だと影響が大きいです。

これが所有物件が少ないうちに発生してしまうと、ローン返済を他物件の家賃収入でカバーというのが難しいですね。

「無縁社会のお守り」「大家の味方」といった家賃保証・原状回復保険はありますが、
物件を手放したくても買い手が見つからない、固定資産税やローン返済でお金は出ていくという状況を想像すると、
明らかに精神衛生上良いとは思えません。

こういったことも、一棟物にポジティブになれない一因となっています。

これらのリスク認識は、過大評価なのでしょうか?

リスクの評価は個人次第、これもファイナンスです。

保有の区分所有数によってもこれらのリスクの感じ方は、大きくも小さくもなるでしょう。

自分なりの精神的負担をうまくマネジメントした戦略を、しっかりと考えていきたいと思います。

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